これで満足!お役勃ち日記!

いろいろ@manzoku238

満足元カノシリーズ1章『S』〜花火大会編〜

 僕の地元の花火大会は毎年のように雨が降る。水天宮の祭りだからだ、という話もあるが真偽はいかに。


「花火大会、一緒に行く?」


そう彼女に言われたのは花火大会の前日だった。吹奏楽部だった彼女とは会う機会もそう多くなく、花火大会も諦めていた僕には思ってもいない朗報だった。
もちろん行くと伝えて翌日を楽しみにしていた。天気予報は五分五分と言ったところだったか。


次の日、空は曇り空だった。待ち合わせまでだいぶ時間があったのでカードを見にいった。なぜ家にいなかったかはわからない。
一度帰ろうと外に出ようとすると豪雨。カードは買ってなかったので被害はない…いや、それどころじゃない。花火大会は?
急いでネットで確認すると中止。延期。彼女からメール。


「花火大会、中止になっちゃったね」


ちくしょう、と吐き捨ててずぶ濡れになって家に帰った。顔は雨か涙かわからないぐらい濡れていた。


数日後延期した日になったが正直諦めていたし、彼女も前日の時点では行けないだろうと言っていた。


「部活終わったから今からなら行けるよ」


メールを読んだ瞬間風呂に入り、当時はまだ薄かったヒゲを剃り、下ろしたての服に着替えて家を飛び出した。駅に着くなり汗を急いで拭き取り彼女を待つ。
間も無くしてオレンジのワンピースに身を包んだ彼女がやってきた。


2人で満員電車に乗り込む。彼女の顔が近い。ほのかに香る柑橘系の香り。なんだかお互い恥ずかしくなり、よくわからない会話をしていた。


電車を降り、2人並んで会場へ歩いた。やたらピカピカ光るおもちゃの店や割高な焼き鳥の出店、騒がしい声がここが祭りの会場であることを伝えてくる。
川辺に2人並んで座る。彼女の太ももが目に入り思わずドキッとした。いや、見るべきは花火だ。なんたって地域最大規模の花火だ。

火薬の爆発音とともに花火大会は始まった。


花火の間はお互いあまり喋らなかった。花火に見入ってしまっていた。何枚か写真も撮ったけれど、彼女の写真は恥ずかしくて撮れなかった。


クライマックスの大連発も終わり、会場は帰宅ムードへと変わって行く。楽しかったね、来年もまた来ようねなんて言いながら駅へと向かう。
もうすぐ駅に着こうかというそのとき、事件は起きた。彼女が急に立ち止まって一言。


「あれお母さんかも…」


見つかったらまずいの?と聞こうと思った瞬間彼女はそちらの方向に歩いて行った。おい待て心の準備もなにもしてないしそもそも話しかけに行くの?なんで?デート中に?

なんでわざわざ会いに行くんだよ!!!???


結局話しかけに行った。しかも彼女の母親もデート中であった。離婚してできた彼氏だそうだ。そんなところに俺を連れて行くか??


なんと彼女の母親と彼氏、僕と彼女がデートに来ることを知っていたらしい。ならそっとしておいてくれ。別々で帰りましょう。そう言いたかったものの、なぜか一緒に電車に乗って一緒に駅に着いた。

彼女の母親の彼氏にえらく褒められた記憶があるがなにも覚えちゃいない。しかも彼女は母親たちと一緒に帰った。祭りの余韻もあったもんじゃない。


飲み物でも買って帰ろうとスーパーに歩いた僕の前に1台のバイクがやってきた。なんだこいつ…と思ったら中学の時の微妙に仲の良かった元ヤン。めんどくさいし帰ろうかと思ったがやたら絡まれた。


「俺暇だから話し相手になれや。帰るとか言ったら◯◯呼ぶぞ」
「それ◯◯呼んで話し相手になってもらえばええやん……」

「いや目の前にお前おるし呼ぶのめんどい」

俺はお前がめんどくせえ!!!!!!!!!!!


不毛なやりとりの末なんとか帰宅。「デートの後はすぐにメールを送る」とネットで調べておいたのにできなかったことを今でも恨んでいる。嘘ついたそんな恨んでない。


帰ってメールを送ると「また来年も行こうね。ずっと一緒にいようね」といった旨の返信。
純粋だった僕はそれで今日の出来事を全てを許し眠りについた。もちろん来年がないことをその時の僕はまだ知らない。

 

にしてもなんで彼氏とデートしてるのにデートしてるのに母親に合流しに行こうと思ったのか今でも疑問である。

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よく聴かれてる方の『夏祭り』はカバー版ですよって話をしてもそもそもWhiteberryもJITTERIN'JINNもみんな世代じゃないので通じません。

祭り関連の曲は桑田佳祐『祭りのあと』が好きです。